読みもの

第1回(教育新聞2016年6月号)

健やかでたくましい子供が育つためのプログラムの活用と評価

衞藤 隆
(一般社団法人ニュートリション運動推進会議子どもの健康づくり委員会理事、東京大学名誉教授、医師)

21世紀の今日、元気いっぱいに校庭を走り回る小学生の姿は微笑ましいですが、文部科学省が毎年実施している体力・運動能力調査によると、握力および走、跳、投能力にかかる項目は、体力水準が高かった昭和55年頃と比較すると、まだ低い現状にあります。ただし、上体起こし、反復横とび、20mシャトルラン、50m走では近年は向上傾向ないし横這い傾向を示しています。
子供の体力・運動能力の長期低下傾向に対しては、平成14年に中央教育審議会から「子どもの体力向上のための総合的な方策について」という答申が出され、様々な対策が国レベルから各地域のレベルまでで実施されてきました。

戦後と比べても、現代の子どもはより健康で安全な環境で育つことが可能となっており、死亡率や寿命という観点から見れば、半世紀前よりも著しく状況がよくなっています。児童の死亡率を5 - 9歳を例に、年齢別人口10万人当たりで比べてみると、昭和25年が207.7、昭和35年が89.2(共に男女計)であるのに対し、平成26年には男子で10.3、女子で7.2となっています。しかしながら、健康や安全の中身を分析してみると、なお改善しなければならない問題や生活習慣病予防のような新たな課題があることがわかります。
子どもが健やかにたくましく、伸び伸びと育つために、食事や運動、睡眠といった面での工夫を考える意義があります。
それでは、具体的にどのようなプログラムを実施すれば、より効果的なのでしょうか。地域や学校の特性を生かしたものを選択し、できるものからはじめていくことが大切です。

ネスレ ヘルシーキッズ プログラムは、子どもたちにとって魅力のある運動プログラムと栄養プログラムを提供し、世界中で実践され成果を上げています。それぞれの地域や学校で取り入れられるものを活用し、元気な子どもたちの声が聞こえる楽しい学校づくりに役立てましょう。

これらのプログラムを新たに導入する場合には、客観的指標に基づき、個々の児童生徒を測定し、そのデータを蓄積しておくことが大切です。それらに基づき、プログラムの評価が可能となります。今年度から定期健康診断時に測定する身長、体重については個々の児童生徒について発育曲線(成長曲線)を作成し、評価することの意義が強調されています。これらも併せて活用すべきでしょう。