読みもの

第4回(教育新聞2016年9月号)

子どもから大人まで世代を超えて 食事と運動で健康なからだを

多田 紀夫
(公益財団法人柏市医療公社 柏市立介護老人保健施設 はみんぐ 施設長・ニュートリション運動推進会議 子どもの健康づくり委員会 理事)

小学生のからだづくりの基本は、食べること(栄養)とからだを動かすこと(運動)です。カルシウムなどの不足しがちな栄養素を意識して摂る、ナトリウムなどの摂り過ぎやすい栄養素に気をつける、適正なエネルギー量を摂取する。これは栄養摂取の基本的な考え方であり、大人も子どもも同じです。

大人の場合、栄養摂取管理の目的は、健康保持・増進と生活習慣病などの疾病予防と重症化予防です。疾病によって栄養素の推奨量や適正な摂取エネルギーが異なりますので、自己判断は禁物です。高齢者の場合は運動量も食事量も減ってくる結果、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉減少)が生じる場合もありうるので、栄養の偏りや不足に、特に注意が必要となります。

「ネスレ ヘルシーキッズ プログラム」では、栄養バランス、カルシウム摂取、運動習慣を中心に小学生のからだづくりに取り組んでいます。これらは中高年から高齢者までの幅広い世代に共通した課題でもあります。大人の偏食も課題の一つで、その多くの原因は子ども時代の偏食にあると言われています。また料理の作り手である保護者に偏食があると、食卓に並ぶ料理が偏り、その結果、栄養バランスが偏るだけでなく、食習慣を含めた偏食が、次世代である子どもたちに繰り返される傾向があります。好みの味付け、調理法、食材、量などの家庭の偏食が子どもに与える影響は少なくありません。栄養摂取は将来の生活習慣病の発生に関わりますので、幼児期、小児期のうちに偏食を克服することが重要です。大人が正しい食習慣を身につけることは、大人自身の健康保持だけでなく子どもたちの健康にもつながります。早寝早起きや運動習慣も同様であり、子どもたちが正しい生活習慣を会得するためには、社会での取り組みが大切です。

大人と子どもに共通する取り組みのメリットには、異世代交流の側面があります。地域でのつながりが薄れている中で、小学生、その父母世代、さらに祖父母世代と時間や空間を共有のは貴重な異世代交流の場になるでしょう。私どもの老人保健施設では「夏祭り」や「クリスマス会」などの行事を通じて、入所者とお孫さんを含めた子どもとの交流を図っています。共に目を輝かしながらヨーヨー釣りや輪投げに興じている姿から、互いに「エネルギーを発散し、かつ吸収し合っている」のが感じられます。ご高齢者にとって子どもたちとの触れ合いは、気持ちが和み、明るくなり、毎日過ごすための「元気のもと」となります。今後、世代を超えた健康づくりの取り組みや、異世代交流の場となるプログラムの開発を進めていきます。